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 Vol.21
−08    2019年08月号

四国 石灰岩の露天掘り鉱山をみる」

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 石灰岩は、高知県の最も重要な鉱物資源とされます。セメントの原料として明治時代から採掘が始まり、現在では年間約1800万トンの石灰岩が生産されているそうです。四国には、形成年代と変成度の異なる付加体が帯状に配列し、石灰岩鉱床はこれらの中に含まれています。
画像には、高知市北部の土佐山一帯にある二つの鉱山と西方の四国カルストと呼ばれる地域にある鳥形山鉱山が見えます、いずれも露天掘り鉱山です。この中で一番規模が大きいのが鳥形山鉱山で、東西方向に3キロメートル程度の広がりを持っています。
 露天掘り鉱山というと、以前このコーナーで紹介した「ニューギニア・マオケ山脈 標高5000mに巨大な穴」 のような光景を連想すると思います。それは巨大なすり鉢状の窪地と、その斜面の縁を巡るように何段にも段差の付いた同心円の道路からなる景観です。四国の露天掘り鉱山は、少し違うようです。
 先にあげた3つの鉱山のうち、一番規模が大きい鉱山は四国山地にある「鳥形山鉱山」です。この鉱山は、平坦な形をしていて、かつて存在した鳥形山の頂上から薄くスライスしながら掘り下げていくという採掘方法を採っているそうです。鉱石は採掘場の中央に設けられた縦坑に投入され,その底に据えられた破砕機(クラッシャー)で破砕した後に,ベルトコンベアで積出港である須崎へと搬出されるため、ダンプトラックが走る大規模な輸送路もなく(須藤 2005)、また採掘に伴う周辺への環境負荷もきわめて小さくなるのでしょう。
 須藤(2005)によるこの鉱山の紹介記事は、鉱山の成り立ちから、20kmにも及ぶ地下トンネルとベルトコンベアーを使った運搬経路の話まであり、思わず引き込まれて読み入ってしまいます。
 この紹介記事によれば、鳥形山鉱山は、昭和46年に生産が始まり,昭和48年には年間生産量が1,000万トンを突破し,昭和63年には生産量日本一を達成したとのことです。現在この鉱山は、日鉄鉱業により年間1,400万トン余りの採掘が行なわれ、露天掘り日本一の産出量を誇っています。開発前に1,459mあった標高は、長年の採掘によって約200m低くなりました。近年では,年間生産量は概ね1,200万トン前後で,
累計生産量は3.5億トンに達しているとのことです(仁淀川町ホームページ

須 藤 定 久 天空の鉱山「鳥形山」を訪ねる。地質ニュース615号,6 ― 13頁,2005年11月


   
     
 画像1 四国にある露天掘り鉱山 Google Earthによる    
     
画像2 Google Earth でみた鳥形山鉱山の全貌     
     
     
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